My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
ドキリとする。
そういう何か言葉を呑み込む姿は、神田にしか見せていないと思っていたから。
なんでそんなことをラビが言うのか、わからなかった。
「隠し事って…何、尋問されてる気になるんだけど」
軽く笑って返してみる。
そうやって軽く返せば、ラビもいつも茶化して返してくれるから。
「尋問じゃねぇけど…最近の雪ってさ。なーんか、気に掛かるんさ」
だけどいつものように、ラビは茶化してはくれなかった。
膝に頬杖ついて、じっとこっちを見てくる目は左目一つ。
そこから目が逸らせない。
確かにラビにはノアのことを聞いたりしたけど、それだけで額の傷が聖痕だって結論には繋がらないだろうし。
流石にラビでも、きっとそんな突拍子もない考えは浮かばないはず。
……多分。
「ノアのこととかも、そうさ。妙に気に掛けてる気がするし」
心臓が僅かに跳ねる。
じっと私を見てくる目は、一度も逸らされないまま。
冷や汗が、じっとりと握った手の内側に浮かんだ。
「雪…もしかしてさ、」
待って。
言わないで。
どんな顔をすればいいのか、まだ覚悟ができていない。
「アレンのこと、誰かに聞いた?」
……アレン?
「はい?」
予想外の名前が飛び出してきて、思わず反応が遅れた。
アレンって…なんでそこでアレン?
「うんにゃ。やっぱなんでもない」
ぽかんとした私の表情に、それだけで悟ったのか。あっさりとラビの目は私から逸らされた。
アレンのことって…なんのこと?