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My important place【D.Gray-man】

第25章 ノア メモリー



「なんか…違和感というか…」

「違和感っスか?」

「うん…」


 なんだかピリッとする。
 チクチク足を僅かに刺されるような、そんな微弱な違和感。


「静電気って言うには、ちょっと違うような…なんだろう」

「静電気? なんでさ」


 瓦礫の上から屈んで、目の前の薄い水溜りを見下ろす。
 恐る恐る手を伸ばして、灯りに揺らめく水の波紋が私の顔を映し出した。


「何か──」


 指先が揺れる水の波紋に触れそうになった時。
 そこに映る私の顔に、つい動きが止まった。










 見えたのは、私の背後から半分覗く顔。










「っ!?」


 反射的に振り返る。


「雪?」

「どうしたんですか?」


 そこにあるのは部屋の壁だけ。
 誰もいない。

 慌てて再び向き直る。
 水に映っているのは、驚いた顔をした自分の姿だけ。
 私の背後には何も映っていない。


「おい、雪って」


 パシャ、と目の前の水溜りをラビの足が踏みつける。


「ぁ…うん。なんでもない」


 目の前に立つラビに、顔だけ上げて応える。
 人の気配なんて全くなかった。
 …ただの見間違い?


「とにかく、この部屋を調べてみましょう」

「はぁ…それしかねーか…」


 辺りを見渡すチャオジーに、ラビも肩を落としつつ賛同した。


「雪はそこで灯り役頼むさ」

「わかった」


 部屋の中心の瓦礫の上で、灯りを持ったまま頷く。
 人形はないみたいだけど、もしかしたら此処でイノセンスの手掛かりが何か掴めるかもしれない。

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