My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
「でもそれ多分、コムイの策略だと思うんさ」
「策略…っスか?」
私の思考と同じように、そう口にしたのはラビだった。
「オレが思うに、わざと二人を組ませてるんじゃねぇかな」
「なんでっスか?」
「人ってもんは場数踏めば、それなりに適応していく生き物だからな。ユウは特に誰とも慣れ合わねぇ性格だから、敢えて同じ面子で組ませてるんさ」
「それってつまり…」
「初対面より、慣れ親しんだ相手との方が任務成功率は上がるだろ。フツーに考えて」
「おー、成程!」
…確かに。
ラビの言うことは尤もだと思う。
神田は誰とでも組ませるには、柔軟な性格じゃないから。
それなら同じ相手と組ませ続けた方が、そのうちに慣れて任務成功率は上がるかもしれない。
私もなんだかんだ神田相手の雑用に手馴れたから、任務遂行は初期よりスムーズに行えるようになった。
でもそれじゃあ…神田が私を見てくれるようになったのは、場数を踏んだからってことなのかな。
私に、自分を見せてろって言ってくれたのは。
ちゃんと見てるって、言ってくれたのは。
他の人より少し、任務で一緒になることが多かったから。
そのおかげなのかな。
…なんかやだな、それ。
それなら私じゃなくてもよかったかもしれない。
私じゃなく、他の誰かが神田とバディを組まされてたら…その人が神田の目に映る人になっていたかもしれない。