• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第25章 Noah's memory



「チ…チャオジー?」


 本当に?

 恐る恐る問いかけてみる。


『俺、チャオジーっス』


 もう一度、"声"が名乗る。


「じゃあなんでそんな怖い喋り方──」

『仲良くしてね』


 え?


『きゃはははは』

『俺、チャオジーっス』

『仲良くしてね』


 ぞわり


「っ…!」


 違う。
 これはチャオジーじゃない。


『ラビさん、雪さん』

『仲良くしてね』

『此処開けてくれますか?』

『きゃはははは』


 淡々と喋るその合間に聞こえる台詞は、あの人形が発していた台詞。
 このドアの向こうにいるのは、きっとチャオジーじゃない。


「ラ、ビ…これ…」

「あの人形さ…?」


 お互いに顔を真っ青にして、その場で硬直する。


「っ…あの人形なら、イノセンスかもしんねぇ」


 先に動いたのはラビだった。


「此処をぶち破るさ!」

「ま、待って!」


 灯り代わりにしていた鉄槌を振ろうとするラビの腕を、抱くように掴んで咄嗟に止める。


「本当にイノセンスなら、当たったらまずいよ…!」


 ラビの鉄槌は遠近両用の武器だけど、その破壊力はどれも大きい。
 あのドアを壊したら、向こう側にある人形まで破壊し兼ねない。


「別の方法で出ないと!」

「別の方法って、何があるんさッ」

「ええっと…壁に穴を開けるとかっ?」


 お互いにあたふたしながらも、どうにか頭を働かせる。


「壁さな! じゃあ──」


 早速と壁に向き直ったラビが、


「っ──…!」


 動きを止めた。





 ──ポタ…





 天井から落ちた滴が一滴。

 私の肩に当たって跳ねる。


 ──ポタ、ポタ、


 二滴、三滴。


「…なんさこれ…」

「…っ…」


 目の前に広がる光景に、思わず言葉を失った。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp