My important place【D.Gray-man】
第5章 夢Ⅱ
「ぁ…ありがとう」
ベッドの薄い布団を体にかけながら礼を言う。
「始発で出る。自分で起きろよ」
背中をベッドに預けたまま、掛けられる言葉は相変わらずの淡々としたものだった。
だったけど…こういう優しさ、持ってたんだ。
任務以外で関わったことなかったから知らなかったな…。
また知らなかった神田の一面を見れた気がして、ほんのり嬉しくなる。
…嬉しい?
私、嬉しいんだ…。
改めて自分の気持ちを知って、なんだか気恥ずかしくなった。
寝よう。
うん、そうしよう。
一日で色々なことを経験して疲労していたのか、薄い布団でも身を包むとすぐに睡魔が襲ってきた。
神田の背中を見ていた視線を外して、反対の壁側に向き直る。
普段はいるだけで威圧感を放ってる神田だけど、視界から外すと不思議と気にならなくなった。
視界にあるものを全て遮断するように、目を瞑る。
するとあっという間に睡魔に誘われるように、私の意識は落ちていった。