My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
そう、再び調査を始めたんだけど──
「…まずいなぁ」
辺りを調査するラビ達から、持っていた灯りに目を向ける。
大分小さくなった、灯りの炎。
三度目に作ったこの簡易松明も、そろそろ終わりを告げようとしていた。
もうアルコールはない。
こんな水浸しの部屋じゃ、灯りの代わりになりそうな物も見つからない。
「ラビ。この灯りが消えたら、何処か適当に炎灯せる?」
「だからオレのイノセンスはライターじゃねぇって」
「今回の使用目的はそれです」
「うわ、はっきり言いやがった」
AKUMAがいないなら、イノセンスの出番はなし。
今回の鉄槌の使用目的は主にそれです。
「……」
そんな会話をラビとしていると、不意にチャオジーが静かなことに気付いた。
あんなに張り切ってあちこち調査していたのに、今は黙々と辺りを探っている。
その顔は歯を食い縛って──…ん?
「チャオジー、どうしたの。どこか怪我とかした?」
何かに耐えるようなその表情に、慌てて傍に寄る。
パシャリと水に足を付けると、また微かにピリッと違和感が走った。
でも微弱なそれは、我慢しようと思えばできる。
今はそんなことに構っていられないし。
「え? いや…してないっスけど…」
「でもなんか、汗掻いてるよ。何かあるなら我慢せずに言って」
私はエクソシストのサポート役だから。
エクソシストに何かあるなら、一早く対処しなきゃならない。
「体調不良とか? 顔色少し悪く見えるし…吐き気とかある? 薬ならあるよ」
「え、ええと…」
「…オレとの扱い、違い過ぎねぇさ?」
おどおどと口籠るチャオジーの後ろで、ラビが文句を垂れる。
チャオジーはまだ新人のエクソシストなんだから、気遣うのは当たり前です。
「あの…そ、それが…」
「うん?」
どこか顔をほんのりと恥ずかしそうに赤らめて、チャオジーは言い難そうに目線を逸らした。
「……トイレ、行きたいなって」
………。
………あ、そっち?