My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
「じゃあ私こっちだから」
「おい」
自室に続く曲がり角で、足を止めて皆に手を挙げる。
呼ばれて振り返れば、重なったのは神田の黒い眼。
「何?」
問い掛ければ、じっとこちらを見てくる。
それから、ふいと自然な動作で視線を逸らされた。
ええと…呼んだだけですかそれ。
「えっと…じゃあ…任務、いってらっしゃい」
「…ああ」
なんとなしに軽く手を振れば、意外にも素っ気なくも返答があった。
「いってらっしゃい」だなんて言葉を神田に掛けたことは今までなかった気がする。
それだけ同じ任務が多かったから。
初めて交わした言葉でも、最低限の手短さはいつもの神田通り。
…そんな姿とも暫くお別れかな。