My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
「チャオジーはまだエクソシストに成りたてだからね。雪くんの腕ならしっかりサポートできるだろうし、逆も然り。新人ファインダーのゴズくんも、神田くん程のエクソシストなら一緒に付けて安心だから」
成程。
今回の選別は新人育成も入ってるんだ。
「ということで、それぞれ任務遂行しっかり頼むよ」
「雪と任務なんて久しぶりさな~」
「よろしくお願いします!」
「うん、こちらこそよろしく」
緩い笑顔を浮かべるラビと頭を下げるチャオジーに応えながら、ちらりと神田を再度見る。
当たり前に一緒の任務だと思っていたから驚きは大きくて、同時に少し寂しさも感じた。
…神田が隣にいれば、安心できるのにな。
「イタリア任務、頑張ってね。ゴズは一生懸命で優しいファインダーだから、あんまり怒ったら駄目だよ」
「人の心配より自分の心配しろ。精々、馬鹿兎に振り回されんなよ」
何気なく笑いかければ、神田らしく返された。
「振り回したりしないさ、ちゃんとオレが守るって」
「…言ったな。こいつが怪我して帰ってきたら刻むぞ」
「え。や、待ってごめん。ちょっと調子乗り過ぎました」
続くラビとのやりとりを耳にしながら、ふと視線を感じて目を向ければ、にこにことこちらを見て笑うコムイ室長がいた。
なんだろ──…あ。
「室長、仕事内容の計らいありがとうございました。おかげで体調も万全に回復できました」
「僕は神田くんの意見に従っただけだよ。でも元気になってよかった」
そういえばと頭を下げれば、笑顔のまま頸を振られる。
話には聞いていたけど、本当に神田から内勤のこと提案してくれたんだ。
「室・長! 雑談は止めて早く任務のご説明を!」
「はいはい…じゃあ説明するねー」
なんだか胸の辺りがじんとしていると、その場の空気を変えるようなフェイさんの凛とした厳しい声が響く。
その声に大きく肩を落としながら、室長は後ろの大きな本棚に吊るされている地図を指差した。
中国での任務か…どんな内容なんだろう?