My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
「ラビー、見つかったーっ?」
高い空の上を、チャオジーと見上げて呼びかける。
視線の先には一直線に高く高く伸びる鉄槌。
その先端にちょこんと器用に座っているのが、このイノセンスの持ち主であるラビ。
「雪さん、もう夕日が見えますよ…」
「うーん…だねぇ」
隣で呟くチャオジーに苦笑しかできない。
お昼休憩を済ませた後、色々とラビに探してもらったのに、何故かまるで見つからない廃墟。
なんでだろう。
「とりあえず陽が落ちる前に、一度退散──」
「雪っ!!」
不意にふわっと風が吹く。
それは唐突にこちらに突っ込んできたラビによって。
勢いよく鉄槌で急降下したかと思うと、器用にしなった鉄槌の柄は減速して、ひらりと目の前にラビが降り立った。
「あったさ!」
「え? 嘘っ」
「本当ですかっ!」
思いもかけない言葉に、思わずチャオジーと笑みを浮かべる。
諦めかけてたから、つい嬉しくて。