My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
「ねぇラビ。前に書庫室で…ノアの話したこと、覚えてる?」
「ノア? ああ、聖痕のことさ?」
「うん」
いつも程よい距離を置いてくれるラビだから、こうしてすんなり聞けたのかもしれない。
「それ以外でさ、ノアのこと何か知ってる? こう、なんていうか…弱点というか…」
"ノア化を防ぐ方法を教えて"なんて、率直には聞けないから。なんとなく言葉を濁して問いかけてみる。
「雪、ノアに興味でもあるんさ?」
「戦う相手の情報を知っておくのは、当然でしょ?」
「まぁ…。そうさなぁ…オレも江戸で会ったのが初めてだから、詳しくは知んねぇけど…」
当たり障りなく言えば、やっぱりラビは特に追及することなく応えてくれた。
「あ、違った。初めて会ったのはルーマニアだったさ」
「ルーマニア?」
「おー。ティキ・ミックってノアなんだけど。列車ん中で、クロちゃんが博打のカモにされてさー」
何それ、初耳。
…というか。
「ティキ・ミック…?」
…なんだろう。
どこかで聞いたことあるような…
そういえばアレンもクロス元帥の事件部屋で、似たような名を口にしていたっけ。
「……」
なんだろう。
どこか引っ掛かる、そんな名前。
「身ぐるみ全部剥がされてたところを、アレンがイカサマ博打で全部取り返したんさ」
「流石アレン…ってノアと博打って。なんで普通に遊んでるの」
「そん時は普通の人間だと思ってたんさ。ノア特有の褐色肌とか聖痕とか、そういうもん隠してたから」
「…へぇ」
そうなんだ…それも初耳。
そうやって普通の人に化けられるなら、もしかしたら私もできるのかな。
「……」
…ん?
ちょっと待って。
もしそうやって周囲の目を誤魔化せるなら、例えノア化しても黙っていればバレないんじゃ…。
「…うん」
いいこと聞いたかもしれない。