My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
元サポーターだったチャオジーは、同じサポーター仲間の大半をAKUMAによって失った。
私はその場にいなかったから、後からアレン達に聞いたけど…家族のようにアニタさんの元に集っていたサポーター達だったらしいから。
生き延びてエクソシストとなったチャオジーだからこそ、そこに懸ける思いは強いんだろう。
「まぁ…今回の任務でそれを使うことになるかはわからないけど…」
腕輪型のイノセンスに触れるチャオジーに、笑いかける。
「アニタさん達に誇れる、立派なエクソシストになれたらいいね」
「はいっス」
言えば、嬉しそうにチャオジーも笑ってくれた。
「立派なエクソシスト、ね…」
むぐむぐとサンドウィッチを口にしながら、ぼんやりと森の木々を見てラビが小さくぼやく。
その顔は何処か遠くを見るように。
ラビはこの教団でエクソシストとして働いてるけど、その立場は複雑。
本職はブックマンだから、その立場も中立を守らないといけない。
普段は感情豊かなラビだから、あんまり想像つかないけど…偶に見せるこういう表情は、彼の立場を思い出させる。
「ラビ、スープ飲む?」
「ん、さんきゅ」
水筒に入ってたスープをコップに注いで、ラビの傍に寄って手渡す。
そのまま隣に腰を下ろした。
「なーに、哀愁漂わせてるんですか」
「別に哀愁なんて…あ、なんか良い男っぽく見えた?」
「いや別に」
「即答かよっ」
軽く問いかければ、軽く茶化して返される。
心の奥底まで見破ってしまいそうなラビの頭の良さは、ちょっと苦手だけど。こういう距離感は割と好き。
ラビは仕事として、私は私情込みで。きっとお互いに奥まで踏み込まないよう、一歩手前でブレーキをかけてるから。
…そういえば。
『ノアの一族には、額に十字模様の聖痕があるんさ。こう、一列に』
ふと思う。
深夜の教団の書庫室で、額の傷跡のことをラビはずばりノアの聖痕だと当てた。
あの時、私はこの額の傷が聖痕なんて思いもしなかった。
あれから色々資料を漁ったけど、それらしい解決法はなかった。
アレンの退魔の剣も頼れない。
でももしかしたら、色んな歴史を記録してきたラビなら…何か解決策を知ってるかもしれない。