My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
ザクザク…
ザクザク…
「…雪、まださー…?」
「俺、ちょっと疲れてきたっス…」
「…あれー…」
重い足取りが続く。
頬を垂れる汗をマントの袖で拭いつつ、思わず脱力の声が漏れた。
後ろを歩く、ラビとチャオジーも同じく。
──あれから小1時間。
…ではなく。
3時間、私達は目的地周辺の森をさ迷っていた。
「なんで見当たらないんだろ…」
情報では、大きな廃墟があるらしいんだけど…それらしい建物は何処にも見当たらない。
「場所は此処で間違ってないんだけどなぁ…」
「でもその情報って、周辺の人からだろ? 単なる噂だったんじゃね?」
「えっ。じゃあガセってことですか?」
「うーん…」
その可能性はあるかもしれない…。
ファインダーが先に現地調査した上での情報ならしっかりしたものだけど、今回の情報は周辺の人から聞いた話だけ。
それは実は単なる噂でした。なんて話、少なくはない。
「とにかく結論付けるのはまだ早いよ。もう少し探してみよう」
「えー…オレ腹減ったさー…」
「…仕方ないなぁ」
確かに、もう時刻はお昼。
お腹に手を当てて愚痴るラビを、否定することはできなかった。
一旦、休憩しようかな。
「じゃあお昼休憩したら、ラビの鉄槌で上から一度探してもらっていい?」
「ラジャっ」
そうして、適当な岩場辺りでお昼休憩を取ることにした。
「──チャオジーって今回で何回目の任務なの?」
ジェリーさんに握ってもらったおにぎりを口にしながら、何気なく問いかける。
初めて任務を組んだから、チャオジーと面識はあってもあんまり深く話したことはなかった。
客観的に見る限りは、人当たりの良さそうな人に見える。
「俺、今回が初めてなんスよ」
「えっそうなの?」
「はいっス! だから凄く嬉しくって」
にこにこと満面の笑みを浮かべて、チャオジーは勢いよく頷いた。
「アニタ様達がくれた力を、やっと使えると思うと」
ふと、その笑みが哀しげなものに変わる。