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My important place【D.Gray-man】

第24章 3/14Whiteday



「神田……最低。」

「ッんだよ! 知るかそんな行事!」


 元々バレンタインなんてもんに興味はなかったんだ。
 贈ったりだとか返したりだとか知るかそんなこと。


「駄目よ、知らなかったからで済ませたら。雪が今まで誰かにバレンタインギフトを贈ったことなんてないんだから。ちゃんとお返しなさい!」


 反射的に声を荒げてもリナに効果はない。
 「めっ」と言いながら指を立ててくるその姿に、つい押し黙る。
 こいつ俺より年下なのに時々姉貴面みたいな顔してくるからな。
 おまけに拳や足技も遠慮なく出してくるから、下手に逆らえない時がある。


「お返しって…何やるんだよ」

「それは神田が自分で考えなきゃ。なんでもいいのよ、雪が喜ぶものなら」


 何かに月城が執着しているところは見たことがない。
 そんなあいつの欲しいもんなんて見当もつかない。
 精々知っているのはモヤシみたいに食好きなことくらい……蓮華の茎でもやるか。


「却下」


 思い立った案は、思い立ったと同時に破棄。
 流石にそんなもんやれやしねぇ。


「思いを込めていれば、なんでもいいのよ。それが大事なんだから」


 笑うリナの言葉に、あの日の月城が重なる。





『どんな形であれ思いが詰まったものだから』





 確かにチョコなんて甘ったるい菓子好きでもなんでもないが、あいつが思いを込めたもんだと思えば素直に嬉しいと感じられた。


「よしっじゃあ早く任務終えて帰らなきゃね。神田、急ごう!」

「っおい!」


 軽い足取りで深い森の中を進むリナを、咄嗟に追う。
 どうせコムイのことだ、すぐ済む任務を選んでんだろ。


「リナリーさん! 神田さん! こちらです!」


 先頭を案内していたファインダーが、一つの洞穴の前で手を挙げる。
 本来ならそこには月城の姿があったはず。
 あいつがいないだけで、どうにも簡単な任務なのに時間の経過はいつもより遅く感じた。
 14日の瞬く時間とは大違いだ。

 …さっさと片付けてさっさと帰るか。
 あいつがいなけりゃ、退屈な時間凌ぎにしかならない。











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