My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
「イタリア任務、頑張ってね。ゴズは一生懸命で優しいファインダーだから、あんまり怒ったら駄目だよ」
そう何気なく笑いかければ、
「人の心配より自分の心配しろ。精々、馬鹿兎に振り回されんなよ」
そう、神田らしく返された。
「振り回したりしないさ、ちゃんとオレが守るって」
「…言ったな。こいつが怪我して帰ってきたら刻むぞ」
「え。や、待ってごめん。ちょっと調子乗り過ぎました」
そんな二人のやりとりを耳にしながら、ふと視線を感じて目を向ければ、にこにことこちらを見て笑うコムイ室長がいた。
なんだろ──…あ。
「そういえば室長、リナリーに会えました?」
「うん、バッチリ! 計らいありがとう雪くんっ」
何気なく問えば、グッと親指をおっ立ててくるその姿につい笑みが漏れた。
そうなんだ、よかった。
「室・長! 雑談は止めて早く任務のご説明を!」
そこに凛と厳しく響く、フェイさんの高い声。
「はいはい…じゃあ説明するねー」
その声に大きく肩を落としながら、室長は後ろの大きな本棚に吊るされている地図を指差した。
中国での任務か…どんな内容なんだろう?