My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine
「んっ何…ッか、神田…っ?」
首筋を伝う雫に唇を寄せて藻掻く体を抱き込めば、簡単にその体は閉じ込められる。
逃げようとするから捕まえたくなる。
それは捕食に似た思いだった。
やっぱ無防備過ぎだろ、こいつは。
「まだまだだな。これくらいの力で抗えないんじゃ。稽古不足だ」
「っ神田が馬鹿力過ぎるんだってッ」
馬鹿言うんじゃねぇよ。
「その馬鹿に負けてんのは何処のどいつだよ」
「ぅ…っわ、わかったから。負け認めるから! そこで喋らないで…息ッ」
耳元で問えば、赤く色付く。
寒さの所為じゃないことは明白で、思わずそこに触れそうになった口をぐっと閉じた。
このまま衝動で動いたら下手なことをし兼ねない。
大事にしたいと思うのに、強く俺の存在を刻み付けたくなる。
確かに感じたその"欲"は、迷いなく月城に向けられたもんだった。
「もっと護身術磨けよ」
俺以外の奴にこんなことされないように。
歯止めが効かなくなる前に顔を離して言えば、ぷるぷると震えるまま月城の頭が項垂れた。
「何これ、苛め…?」
…ある意味、間違ってはいないな。