My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
「フェイくん」
「はい。貴方達の資料はこれです」
「え?」
「へ?」
「はいっス…?」
「残りはこちら」
「え? はぁ」
「…どういうことだ、コムイ」
フェイさんが配った資料は二つ。
私とラビとチャオジーに同じ書類を、ゴズと神田には別の書類。
書類を受け取りながらぽかんとする私達の中で、唯一神田だけが訝しそうに問いかけた。
資料が別々って、どういうこと。
「時間は1分1秒とも無駄にできません。任務説明は同時に行います」
「ってことは…」
腕時計を掲げてきっぱりはっきり言うフェイさんに、なんとなく予想がついた。
…もしかして。
「資料別で任務も別だよ。中国の任務は雪くんがサポートでエクソシスト二人。イタリアの任務はゴズくんがサポートでエクソシスト一人」
やっぱり。
私の任務は、中国でラビとチャオジーと一緒。
…あれ?
神田と一緒じゃない。
今まで同時任務で一緒じゃなかったことなんてないから驚いて、思わずまじまじと隣に立つ神田を見上げる。
するとそれは神田も同じだったらしく、ばちりと目が合った。
「…選別、間違えてません?」
つい室長に目線を変えて問いかける。
それくらい、今まで神田との任務は当たり前だったから。
「間違えてないよ。雪くんは今回は、ラビとチャオジーと一緒に行ってもらう」
だけどはっきりとそう、コムイ室長は首を横に振った。
「チャオジーはまだエクソシストに成りたてだからね。雪くんの腕ならしっかりサポートできるだろうし。逆も然り。新人ファインダーのゴズくんも、神田くん程のエクソシストなら一緒に付けて安心だから」
成程。
今回の選別は新人育成も入ってるんだ。
「ということで、それぞれ任務遂行しっかり頼むよ」
「雪と任務なんて久しぶりさな~」
「よろしくお願いします!」
「うん、こちらこそよろしく」
緩い笑顔を浮かべるラビと頭を下げるチャオジーに応えながら、ちらりと神田を見る。
当たり前に一緒の任務だと思っていたから驚きは大きくて、同時に少し寂しさも感じた。
…神田が隣にいれば、安心できるのにな…。