My important place【D.Gray-man】
第24章 3/14Whiteday(番外編)
──コンコン、
「……」
ノックをしても返事はなかった。
「…入るぞ」
どうせ寝てるんだろう、一言声をかけてドアを開ける。
目の前に広がったのは極々普通の間取り部屋。
…そういやこいつの自室に入んのは、初めてな気がする。
「月城、」
部屋の隅に置かれたベッドには、こんもりと小さな布団の膨らみ。
顔や手足を全部隠してはいるが、その膨らみで中に人がいることはわかった。
だが声をかけても返答はない。
…やっぱまだ寝てんのか。
「……」
寝てる奴をわざわざ起こす気はないが。隠れるように寝てるそいつの顔くらいは見て帰ろうかと思い、静かにベッドの傍に寄ると布団を捲る。
案の定、捲った布団の中にいたのは月城だった。
案の定、しっかり瞑った瞼に意識は睡眠の中へと落ちていた。
だがその姿に、つい眉を顰める。
「っは…」
ぜぃぜぃと小さく荒い息を吐きながら、縮こまるように丸まって寝ている姿。
その体を縮めて眠る姿は、ミュンヘンやゾンビ事件で見たあいつの寝姿を思い出させた。
だがそれ以上に、赤い顔に眉間に皺寄せながら短く呼吸する姿に目が止まった。
明らかに朝見た時より症状は酷い。
医務室には行ったのか。
部屋の中を見渡せば、机に薬と水の入ったコップが見える。
空の薬の袋を見るところ、どうやらきちんと薬は飲んだらしい。
──が、今日一日で治る風邪じゃなかったってことか。
「…は…ぁっ」
「……」
荒い息をつく月城の額に手を伸ばす。
前髪の下に滑り込ませて額を包むように掌を当てれば、絆創膏越しでも熱い体温が伝わった。
…結構高ぇな。