My important place【D.Gray-man】
第25章 Noah's memory
陽も落ちていく夕方、此処は教団の食堂。
「…なんの罰ゲームなんさ、それ」
ぽかんと口を開けて、料理のトレイを手に見てくるのはラビ。
「罰ゲーム?」
「…仕方なくです」
「…つき合ってやってんだ」
ラビに問う私の両側で、渋々と応えるアレンと神田。
私の目の前には、ジェリーさんに頼んで貰った夕飯のお蕎麦。
ちなみにデザートはみたらし団子。
どうせなら二人が好きなものを食べてみようと思い、頼んでみた。
「ただ普通に三人でご飯食べてるだけだよ」
「ただ普通に食べられない二人がいるから、驚いてるんさ」
そうかな。
見れば左右に座った神田とアレンも、頼んだ夕飯を黙々と口にしている。
「大人しく食べてるよ、二人共」
「…雪、どんなマジック使ったんさ…」
「何もしてないよ」
強いて言うなら禁止ルールを決めただけ。
大人しくそれに従ってくれているから、二人の間に衝突はない。
やればできるんだから、普段もこうしていればいいのに。
「ふふ、」
あまりに喧嘩するから、つい場を治めるためにこんな行動してしまったけど意外にも二人は従ってくれた。
普通なら一緒に並ばない二人が左右にいるから、つい嬉しくなって笑みが零れる。
「…何笑ってんだよ」
「美味しいものを食べると、笑顔になるんです」
同じく蕎麦を食しながら呟く神田に、笑って返す。
するとその顔は不機嫌そうにはしているものの、それ以上突っ込んでこなかった。
…不安は、ないと言えば嘘になる。
でもこうして神田が隣にいてくれると、それは少しでも緩和されるから。
神田とアレンのいつもの喧嘩っ早いやりとりを見ていると、なんとなく肩の力が抜けた。
だから今はこうして、いつも通り笑っていられる。
そこはアレンにも感謝しないと。
「あ。このみたらし団子、美味しい」
「ですよねっジェリーさんお手製のみたらしなんです」
「そうなんだ、私初めて食べたよ。もっと早く頼んでればよかった」
一口齧った団子を手に笑ってアレンに言えば、その顔は年相応に嬉しそうに綻んだ。