My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine's Day(番外編)
「大丈夫だよ。今回のバレンタインチョコだって神田にしかあげてないし…」
「……そういや、なんでチョコなんだよ。俺が甘いもん苦手だって知ってんだろ」
「日本の習慣で、そういうのがあるから…そういえばイギリスにも似たような習慣あったかな」
「…んなもん初めて聞いた」
「本当だよ。前にアレンから教えてもらったから」
「……」
思い出すように言うその口から、不意に出てきたモヤシの名前。
他の奴がモヤシのことなんざ口にしても別に気にしないが、こいつの口からその名を聞くと、いけ好かない気持ちになる。
俺がモヤシ嫌いだからか、はたまたモヤシと話す時のこいつの顔が、他のエクソシストといる時と少し違って見えるからか。
「だから、えっと…チョコにしてみました」
思わず顔を顰めれば、月城もまずいと思ったのか。慌てて顔を前に戻して取り繕うように話を繋ぐ。
「次回は別の物にするよ」
「…次回?」
「あ、要らないなら止めとくから」
「いや」
思いがけない言葉に思わず呟けば、勘違いでもしたのか。慌てて付け足してくる月城に首を横に振る。
次回ってことは…来年もこうして俺の隣にいるってことか。
「月城が選んだ物なら、なんでもいい」
甘いもんにだって、そこにこいつの"思い"が詰まっているなら。
「そう?…そっか…うん、」
何度も頷きながら、そうかと口にする。
その声はどこか嬉しそうに、そんな月城の耳は相変わらずほんのりと赤い。
…あんまりそういう反応するなよ。
濡れた服越しに伝わる、月城の体の感触。
こいつの体の柔らかさを知ったのは、年越しにアメリカで任務に当たった時だった。
こいつも女なんだと、あの時はこの体に触れて自覚したが…今はそんなことしなくたって充分に意識してる。
だからこそ、こうして触れて感じていると余計にそういうもんを意識させる。
「……」
……こいつの為にと何気なくやった行為だが、案外まずいかもしれない。