My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine
「うへぁ、今年もすげぇさ」
一人で決意した時、明るい声が背後から飛んできた。
振り返れば、まじまじと大量の花束を見ているラビがいた。
「流石ユウ。相変わらずモテモテだなー」
面白そうに言うラビは見慣れているのか。朝食のトレイを手に、当たり前に隣に座ってくる。
「今年は花なんか。何気にこういうもんも値は張るからなぁ」
「今年はって。毎年のプレゼント知ってるの?」
「おう。去年は菓子類だったんさ。ユウ甘いの苦手だし、オレが全部美味しく頂きました♪」
どうやらラビに処分を頼んでたのは本当みたいだ。
「んで、どうするんさ? これ」
「どうするもこうするも花を飾る趣味なんてねぇよ」
「だよな。じゃあオレ貰ってい?」
「好きにしろ」
待って待って。
お菓子類はわかるけど、こんな大量の花束をどう片す気なの。この兎さんは。
というか。
「駄目です」
「へ?」
綺麗にラッピングされた花束に触れようとしたラビの手首を、掴んで止める。
決意したんだから、阻止しないと。
「これは神田にプレゼントされたものなんだから。神田が受け取らないと」
「それはそうだけど…でも本人が要らないって言ってんだし」
「花の命は短いんです。その間くらい愛でてあげたっていいでしょ」
「って雪は言ってるけど。どうする? ユウ」
「俺が花を愛でる奴に見えるかよ」
確かに見えない。
見えない、けど。
蓮華の花のことを神田は知っていた。
あの壮観な花畑の中で湖に浮かぶあの花を見つめる横顔は、いつもの表情とは違って見えたから。
きっと無感情に花を見る人じゃないと思う。
「とにかくラビはそれ持って行ったら駄目。神田はご飯食べ終えたら、用意しに行こう」
「は? 用意って何を」
「決まってるでしょ」
こんな大量の花束を飾るなら、必要だから。
「花瓶。用意しないと」