My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine
神田のファンクラブの存在は知ってるけど、その方々と直接話したことはない。
だから断言はできないけど…こんな暴君のファンになるくらい、女神様みたいな優しき心の持ち主だろうから。無闇に想いを押し付けたりはしないようにしてるんじゃないかな。
それ故の匿名希望。
もう本当にどこのアイドルのファンクラブですかこれ。
「神田のことを思っての匿名なんだよ」
「知らない奴に一方的に気持ち押し付けられて、どうしろってんだよ」
「…多分、付き合いたいとかじゃなくて…それくらい好きですよって伝えたいだけなんじゃないかな」
「なんだそれストーカーか…」
「やめましょうそんなこと言うの」
ゾワッと鳥肌を立てる神田に即座に突っ込む。
そういうこと言わない。
相手はこんな神田でも好意を持ってくれてる女神様なのに。
「毎年押し付けられる身にもなれ。名乗りもしない奴らに好かれて、何が嬉しいんだよ」
「それは…って毎年贈られてるの」
流石美形代表。
もう本当、どこのアイドル。
「処分に困るんだよ、毎度毎度」
「…間違ってもそんなこと周りに言ったら駄目だからね」
「あ?」
今の言葉で、世の中の女性敵に回しましたよ神田さん。
処分って何、処分って。そういう言い方やめましょう。
「じゃあ毎年どうしてたの。この大量のプレゼント」
「馬鹿兎にやってた。どう処分してるか知らないが、あいつに頼めば片してくれる」
まじですか。
兎さん、何やってるんですか。
「いくら置き場に困るからって…花に罪はないのに」
気遣いある女神様達だから、きっと花束にしたんじゃないかな。
ずっと残る訳でもないから、貰って困るようなものじゃないし。
本当に、花に罪はない。
あるとしたら受け取り側のこの神田です。
「…よし」
溜息混じりに花束を見ていたら、なんとなくその気が湧いた。
先日、僅かにでも神田にチョコをあげてみようかな、なんて気持ちを持ったから。
この沢山のプレゼントをくれたファンクラブの方々の気持ちも、少しだけわかる。
大なり小なり勇気は必要だったはず。
そんな相手を想っての行為を、無下にしたら駄目だ。