My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine's Day(番外編)
「うーん、お腹いっぱい」
「よくあんな量食えたな」
「結構頑張った」
会計を済ませてお店の外に出る。
空腹を充分過ぎるくらい満たして、お腹はもうぱんぱんだった。
二人分食べれば、そうなるよね。
でも昔から、ご飯を残すってことは中々できなかったから。
「まぁ、いいんじゃねぇの。お前ひょろ過ぎるから」
「そんなにひょろひょろかな…」
「片手で運べるくらいだ、軽過ぎんだろ」
ああ、そういえば。
神田には引き摺られたり担がれたりすること、よくあったっけ。
…あれは私が軽いというより、神田の力があり過ぎるんだと思う。
それなりに筋肉もついていて、鍛えてるのは知ってるけど…でも細身なところは細身。
それであのバズの巨体を片手で持ち上げられるくらいだから。
どうしたらそんな力持ちになれるのか。
………それって、神田のセカンドエクソシストの力なのかな…。
「……」
未だに、その体のことを知ったことは神田に伝えてない。
神田も私に聞いてきたことはない。
…やっぱり自分の為というより、私の為に教えてくれたんだと思う。
「…じゃあもっと鍛えるね。任務で足手纏いにならないように」
「……」
お店を出て、街の人込みの中を歩く。
前を見ながら何気なくそう伝えれば、隣を歩く神田から視線を感じた。
見上げれば、やっぱり。
こっちを見下ろしてくる神田の目と合う。
でもそれは、すぐにふいと逸らされた。
「充分鍛えてんだろ」
え?
「休日にあそこまで稽古漬けする奴、ファインダーの中でも早々いねぇよ」
「……そう?」
人込みに目を向けたまま、淡々と話す神田はいつもと変わらない。
でもその口から出てくる言葉は、いつもと違っていた。
「まだまだなところもあるけどな」
あ。
やっぱり神田は神──
「足手纏いだと思ったら、何度も一緒に任務なんか組まねぇよ」
…………え?
「……」
今、認めた?
私のこと…
神田らしい、ちょっと遠回りするような言葉だったけど。
確かに今のは私を認めてくれた言葉だった。
きっと、ファインダーとして。