My important place【D.Gray-man】
第22章 ティータイム後のあなたと
「それならよかったです」
引っ掛かったままの俺とは反対に、ほっと安堵の息をついたモヤシはようやく捜していたゴーレムに目を向けた。
「ティム」
ずっと月城の肩に乗ったままのそいつが、呼びかけに大人しくモヤシの肩へと移る。
「お前も、雪さんにあんまり甘えるんじゃない」
咎めるその言葉に、しゅんとティムが金色の羽と尾を垂らす。…凹んでんのか、あれ。
伝言ジェスチャーはどうにもわかり難いが、感情の起伏はわかり易い奴だな。
「で。なんで神田が此処に?」
「いちゃ悪いのかよ」
改めて目を向けてくるモヤシは、取って付けたようにいけしゃあしゃあと口にする。
相変わらず態度がいちいちうぜぇ。
「そんなこと言ってません、問い掛けただけです。会話のキャッチボールしましょうね」
「テメェのその物言いが人をイラつかせるんだろうが」
「四六時中、暴言吐いてる人に言われたくないです」
「ァあ?」
「ま、まぁまぁ」
相変わらずムカつくことしか言わないモヤシを睨み返せば、月城が間に腕を割り込ませてくる。
「神田は途中で会って、ちょっと話してただけだよ。それより、あんまりティムを責めないであげてね。私が勝手にしたことだから」
「そうだとしても、心配しますから。もうティムと二人だけで、あそこには行かないで下さい」
モヤシの顔が、心配そうに月城を覗き込む。
流石に断れないと思ったのか、月城は困った顔で頷いた。
「その時は、僕も呼んで下さい。一緒に行きますから」
「え、と…うん。わかった」
おい待て。
「ティムはテメェのゴーレムだろ。テメェだけで行って来い」
「これは僕と雪さんのことですから。部外者さんは入ってこないでくれませんか」
聞き捨てならない言葉に、思わず口を挟む。
するとロンドンの任務で俺がモヤシに口にした「部外者」という言葉をわざとらしく強調しながら言い返してきた。
このクソモヤシ。