My important place【D.Gray-man】
第22章 ティータイム後のあなたと
ファインダーは教団内で、一番死亡率が高い職だ。
弱い奴は簡単にぱたぱたと死んでいく。
いつかそうやって誰かに縋ることもなく、こいつも呆気なく逝ってしまうんじゃないか。
そうやって一人背を向けたまま、俺の前からも呆気なく姿を消してしまうんじゃないか。
……そうか。俺はこいつに不安を感じていたのか。
だからリナの時みたいに、見て見ぬフリはできなかった。
俺の傍に…繋ぎ止めておきたいと、思うから。
「お前──」
「神田が」
一人で解決しようとする月城に口を挟もうとすれば、その上に言葉を被せて遮られた。
俯いて、握った拳を胸に当てて。
「神田が、見ていてくれたら…それでいい」
消え入りそうな声で漏れたのは、俺を求めるものだった。
予想外の言葉に、思考が一瞬止まる。
目の前で俯いたまま、拳を握って微動だにしない月城。
その縮こまるような姿は、初めて俺のことが知りたいと、ゾンビから逃げ出す通気口の中で必死に言葉を紡いでいた姿と重なった。
…というか、お前な。
「本気で言ってんのか、それ」
「うん」
恐る恐る一挙一動を見るように、月城の顔が上がる。
俺の表情を伺うかのようなその顔に、思わず呆れた。
「馬鹿じゃねぇの」
「え。」
「お前、俺の何を見てんだよ」
「え…っご、ごめん?」
「疑問形で言うくらいなら謝んな」
「わっ」
慌てて謝ろうと下げる頭を掴んで止める。
意味もなく謝んじゃねぇよ。
「んなもんとっくに見てんだろうが。忘れたのかよ。月城雪って奴以外、見る気はねぇって言っただろ」
ゾンビ事件の最中に、初めて俺に自分の親のことを月城が話した時。確かにはっきりとそう口にすれば、月城は泣きそうな顔ではにかんだ。
あの顔は今でも俺の脳裏に焼き付いたまま残っている。
あそこまではっきり言ったのに、なんで今更見て欲しいだなんて言葉が出てくるんだ。阿呆か、お前。
見てんだよ、とっくに。
じゃなきゃわざわざルベリエの所から引き摺ってこねぇよ。