My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine's Day(番外編)
「任務仲間として、日頃の感謝を伝えればいいんじゃない? そういうチョコもあるんでしょ。確か…義理チョコっていうんだっけ」
「…うん、まぁ」
「ならいいじゃないっ神田くん、喜ぶんじゃないかしら」
「……それはないと思う」
「あら、なんで?」
きょとんと見てくるミランダさんに、思わず苦笑する。
「だって神田、甘いの嫌いだし」
前に一緒にご飯を食べてた時に、そんなこと言ってた。
「ふぅん? 神田って甘いの嫌いなんだ」
なのに何故か、それを聞いたリナリーはにこにこと笑顔を浮かべてくる。
何?
「私、知らなかったな」
「え?」
そうなの?
「それだけ雪には、自分のことを伝えてるってことよね?」
「……」
……そうなのかな。
すぐには返事ができなくて言葉を詰まらせる私に、にこにこと満面の笑みでリナリーは手を握ってきた。
「ねっ。だから雪もチョコ選ぼう♪」
「で、でも…」
「大丈夫だって。やっぱり駄目だと思ったら、自分で食べちゃえばいいんだし」
そういう問題っ?
「甘いものが苦手なら、ビター系にすればいいんじゃないかしら」
「それならこれとかどうかな」
渋る私を余所に、楽しそうにショーウィンドウを覗く二人。
駄目だ、これじゃ買うまで自由にさせてもらえない気がする。
「ねぇ、雪。折角なんだし」
「そうよ。一年に一度だもの。ね?」
左右から覗き込んでくる二人の笑顔に、とうとう私は根を上げた。
「……じゃあ、」
買っても、あげるかはわからないけど。
とりあえずこの場を乗り切るために。
「これで」
「……え?」
「…これ?」
目の前のチョコを指差した。