My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine's Day(番外編)
「自分の為に買うにしても、こんな高級チョコレートなんて…」
「あげる人ならいるじゃない」
「?」
誰。
当たり前に言ってくるリナリーに、思わず目で問う。
「神田よ、神田」
「ぶっふぅッ」
あまりに予想外な人の名を出されて、つい真顔で吹いてしまった。
神田って…あの神田ですか。
あの美形という仮面を被った暴君ですか。
……。
…いやいやいや。
「ないない。なんで神田。…ないないない」
「あら、神田くんは私もぴったりだと思うけど」
「なんで」
思わずミランダさんを凝視する。
「だってほら。神田くんと雪ちゃんって仲良しじゃない?」
「…はい?」
どこをどう見たら、そんなふうに見えるんだろう。
両手を合わせて、ねっと笑顔を見せてくるミランダさんに思わず目が点になる。
「私もそう思ってたのよ。最近、一緒にご飯食べてる姿よく見かけるし」
「…あれはただ…任務で一緒になることが多いから、その前後の流れで一緒に食べてるというか…」
「あら。私は休みの日に、神田くんと組み手しているところを見たわ」
「…あれはただ、自分を鍛える為に付き合ってもらってるだけで…」
別に深い意味なんてない。
…確かに、最近そうして神田と一緒に過ごす時間は増えたけど。
……確かに、そうして増えた時間を嬉しいと感じはするけど。
仲良しというか今までが淡白なだけであって、今の関係はアレンやラビと変わらない普通のものだと思う。
「でも神田が特定の人とずっと一緒に過ごすなんて、初めてだし。仲良くなきゃできないことだと思うの」
「そう、かなぁ…」
それはよくわからないけど…確かに神田に対して特別な思いがないかと言えば……嘘になる。
でもそんなこと、周りに吐露する気はない。
女子会で恋バナみたいに明るく話すような、そういう類の思いとは違う気がするから。