My important place【D.Gray-man】
第22章 金烏.
「それなら、よかったです」
ほっと安堵の息をついて、モヤシの目がティムに移る。
「ティム」
ずっと月城の肩に乗ったままのそいつは、その呼びかけに大人しくモヤシの肩へと移った。
「お前も、雪さんにあんまり甘えるんじゃない」
咎めるその言葉に、しゅんとティムが金色の羽と尾を垂らす。
…凹んでんのか、あれ。
伝言ジェスチャーはどうにもわかり難いが、感情の起伏はわかり易い奴だな。
「………で。なんで神田が此処に?」
「いちゃ悪いのかよ」
改めて目を向けてくるモヤシは、取って付けたようにいけしゃあしゃあと口にする。
…うぜぇ。
「そんなこと言ってません、問いかけただけです。会話のキャッチボールしましょうね」
「テメェのその物言いが、人をイラつかせるんだろうが」
「四六時中、暴言吐いてる人に言われたくないです」
「あ?」
「ま、まぁまぁ」
相変わらずムカつく奴だとモヤシを睨み返していれば、月城が間に腕を割り込ませてくる。
「神田は途中で会って、ちょっと話してただけだよ。…それより、あんまりティムを責めないであげてね。私が勝手にしたことだから」
「そうだとしても…心配しますから。もうティムと二人だけで、あそこには行かないで下さい」
モヤシの顔が、心配そうに月城を覗き込む。
流石に断れないと思ったのか、月城は困った顔で頷いた。
「その時は、僕も呼んで下さい。一緒に行きますから」
「あ…うん。わかった」
おい待てコラ。
「ティムはテメェのゴーレムだろ。テメェだけで行って来い」
「これは僕と雪さんのことですから。部外者さんは入ってこないでくれませんか」
聞き捨てならない言葉に、思わず口を挟む。
するとロンドンの任務で俺がモヤシに口にした、"部外者"という言葉をわざとらしく強調しながら言い返してきた。
…このクソモヤシ。