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My important place【D.Gray-man】

第22章 金烏.



「か…神田だって、その乱暴な癖、もうちょっと控えればいいと思う…」

「…あ?」

「そしたら私も、優しくしてなんて言わないし…」


 ぼそぼそと控えめに発してきたのは、反論の声。
 思わず引き寄せていた後頭部を掌で掴む。


「っ! それ! そのすぐ力入れる癖やめよう!」

「入れてねぇよ、これくらい」

「入れてます! 頭割れるッ」

「大袈裟に言ってんじゃねぇよっ」


 あまりにぎゃあぎゃあ喚くもんだから、掴んだ手を離して言葉を返す。
 見ないようにしていた月城の顔を視界に入れたのは、この阿呆な会話の流れ故だったが。


「大袈裟じゃないから…っ」


 俺の顔を見上げる月城の顔は、いつもの文句を垂れる時の顔とは違っていた。
 どことなく赤く色付いた顔。
 至近距離にあるその顔に、思わず吐き出そうとした言葉が止まる。


「……」

「…な、何」


 じっと見下ろせば、気恥ずかしそうにぎこちなく返してくる。
 その姿はあの司令室に向かう途中の廊下で、幻の花に囲まれていた月城と同じだった。
 頬を突けば、顔をじんわりと赤くさせていた。

 あの時と同じなのに、あの時とは違う思いが湧き上がる。

 面白い反応だ、くらいにしか思ってなかったのに。今はその顔を見てるだけで、胸の奥がじり、と焦げ付く。


 …嗚呼、やっぱりだ。


「…神田…?」


 頬に触れる。
 じわりと、触れた指先から広がるように月城の顔が更に赤く染まる。
 そんな月城に、じんわりと胸に染み渡る想い。

 …これは──





「ティムっ!!」





 遮ったのは、いけ好かない声だった。


「!」


 弾けるように顔を上げた月城が、その声の持ち主に目を向ける。
 同じく頬に触れていた手を引っ込めて、俺も其処に目を向けた。


「やっと見つけた…ッ」


 バタバタと慌しくこっちに走ってくるのは、やっぱりそいつだった。
 月城の肩にずっと乗ったままでいる、ティムの持ち主。

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