My important place【D.Gray-man】
第22章 金烏.
「俺は月城みたいにお前に構う気はねぇんだよ。他所を当たれ」
「ガァアッガアッ!」
言っても聞かないそいつは、煩く鳴き喚きながら再度俺の服を引く。
あまりに煩いからか、周りの教団の奴らから向く視線に居心地の悪さを感じる。
「チッ」
ったく、面倒臭ぇな。
「モヤシの所に連れてく気なら、他の奴にしろ」
言えばそいつは即刻首を横に振った。
…正しくは、その球体を真横に回転させてるだけだが。
「じゃあ何処だよ」
ゴーレムに言葉を話す術なんてない。
問いかければ案の定、そいつはジェスチャーのように体を動かすが俺にはさっぱり見当もつかない。
そんな動きでお前の感情読み取れるのは、モヤシだけだろ。
「…何かあるならモヤシを頼れ。俺は行く」
「ガァアッ!」
早々と理解するのを諦めて背を向ければ、それを阻止するように回り込んで球体を俺の胸に押し付けてくる。
ったく、うぜぇな。
わかんねぇもんはわかんねぇんだよ。
「そんなに構って欲しいなら、また月城んとこにでも行けばいいだろ」
何気なくそう月城の名前を出せば、ティムは勢いよく縦に球体を振り始めた。
…なんだよその頷きは。
「…じゃあ行けよさっさと」
「ガァッ」
言えば、今度は球体を横に振る。
「…訳わかんねぇ」
どうにもその行動の意味は理解できないが、どうやら月城に関することらしい。
…恐らく。
「月城がどうし──…って、おい!」
再度問いかけるも、それ以上は反応せず俺の頭上を回ったかと思うと一直線に何処かに飛んでいく。
そのまま見過ごすこともできたが、その行動の内容が気になる。
月城に何かあったってことか?
「…チッ」
結局無視はできずに、仕方なくティムを追うことにした。
なんなんだよ、一体。