My important place【D.Gray-man】
第21章 玉兎.
「…神田、」
「……」
呼びかけても、神田は応えない。
スタスタとスピードも衰えないまま、私の腕を引いて歩き続ける。
その手を振り払うことはできなくて、大人しく小走りについて歩く。
ティムも私の肩に乗ったまま、大人しくしていた。
「……」
有無を言わさない力なのに、私の腕を掴む手はそこまで強くない。
じんわりと衣服の上から感じる神田の手の感触。
…あ、また。
別に体温が伝わって感じる訳でもないのに。
神田に触れられると、じんわりと広がる温かい"何か"に長官への恐怖は薄れていく。
ただ腕を引かれているだけなのに…不思議と落ち着いて、ほっとする自分がいた。