My important place【D.Gray-man】
第21章 玉兎.
神田が足を止めたのは、長い廊下を通り過ぎて小さな中庭に出てからだった。
「何やってんだ」
足を止めると同時に腕を離される。
振り返った神田の顔は、未だ眉を寄せたままだった。
「神田の方こそ…なんであそこに?」
お風呂場の前で別れた時と服装は違うから、シャワーは浴びたんだろうけど。
ラビの姿は何処にもない。
偶然、通りかかりでもしたのかな。
「質問してんのはこっちだ。なんであの部屋で、ルベリエなんかといた」
「……ティムと約束したから」
「約束?」
ごめん、アレン。
これ以上黙っていることはできずに、心の中でアレンに謝って口を開く。
「ティムが時々クロス元帥のこと恋しがって、あの部屋に行くから…その時は私も付き合うって、約束したの」
私の肩に乗って寄り添ったまま動かないティムに、神田の視線が移る。
「…それをモヤシは知ってんのか」
頷けば、神田は眉を寄せたまま深く溜息をついた。
「ったく…何約束させてんだ、あいつは」
「っ違うよ。アレンは関係ない。私が勝手にティムと約束しただけだから」
強く首を横に振る。
アレンもティムも、誰も悪くない。
私が勝手にティムに付き合って、あの場にいただけだから。
逃げ出そうと思えば、逃げ出せた。