My important place【D.Gray-man】
第21章 玉兎.
──そう、それが今日一連の出来事。
その後ティムと一緒に訪れたこの元帥の事件部屋で、思いっきりティータイム中のルベリエ長官と鉢合わせしてしまった。
そして現在に至る。
「では質問を変えましょう。何故偶々このゴーレムと共にいた貴女は、この部屋に来たのか。立入禁止なことは知っているはずでしょう」
「偶々」を強調しながら問いかけてくる長官に、思わず掌に脂汗が滲む。
そうですね、立入禁止ですよね。
だからこそそんな場所で誰かがティータイムしてるなんて、普通思わないですよね。
「…ティムが、此処に来たがったからです…」
「何故来たがったとわかるのですか? ゴーレムが言葉を発する訳もないでしょうに」
それは、まぁそうですけど。
…でもそれを説明するなら、アレンと以前此処に来たことを話さないといけない。
そんなこと話して、もしアレンに処罰でも下ったら。
アレンもティムも、何も悪いことなんてしてないのに。
「……勘です」
「…ほう」
苦しい言い訳なのはわかってたけど、それ以外思い付かなくて咄嗟に口にした私に、それはそれはにっこりと綺麗な笑みをルベリエ長官は返した。
うわ…すっごく怖いんですけど…!
「どうもこれは、お茶だけでは満足できそうにないですね」
両肘を机に置いて、組んだ両手を口元に当てて笑う長官。
「是非とも、私と一緒にディナーもいかがかな?」
やんわりと食事を誘ってくるその真意は、明らかに尋問の延長を示していた。
…どうしよう。本当に逃げたい。
私、別に悪いことしたつもりないんですけど…!
「えっと…お誘いは嬉しいんですが、夕飯は用事が入ってまして…」
勿論そんな用事は入ってないけど。
こんなことなら神田とラビに伝えておけばよかったかな…。
いや、そのうちに気付いてアレンが様子を見に来てくれるはず。
って、それじゃ駄目だ。
結局アレンが色々と尋問受ける結果になるかもしれない。
アレンは方舟の件で充分、中央庁から色々尋ねられたはず。
最近色々あって大変なのは知ってるから…そういう思いはあまりさせたくない。