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My important place【D.Gray-man】

第21章 地獄のティータイム



「よ、よし…! 撒いたかな…!?」

「なんですか急に…っ」


 ダッシュした室長に、廊下の隅にあった細い通路の奥へと引っ張り込まれる。
 辺りを伺いながら息を整える室長の姿は、さながら逃亡者のよう。
 やっぱり仕事から逃げてるんじゃないのかな。


「私、仕事中なんですけど…」

「僕だってそうだよ、大事な任務中なんだ」

「任務?」


 言えば、はっきりと胸を張って返される。
 あれ? 室長の仕事に"任務"なんてものあったかな。


「愛しの妹に会いに行くという極秘任」

「じゃあ私急いでるんで」

「待って! そんな冷たい顔で行かないで雪くん!」


 片手を挙げて去ろうとすれば、即座に強く両肩を掴まれた。

 何が極秘任務ですか。
 ただリナリーに会いたいだけでしょ、それ。
 やっぱり仕事抜け出してきたんでしょ、それ。


「それがね! 聞いてくれるかな!」

「えー…」

「今日、リナリーが一週間の長期任務からやっと帰ってきたんだけど…!」

「私、聞くって言ってませんけど」


 冷静に突っ込んでみても、私の言葉なんてまるで無視。
 熱く語るコムイ室長の言葉は全て、リナリーへの愛だけが溢れていた。

 要点をまとめれば、長期任務から帰ってきた大好きな妹と久々に一緒の時間を過ごしたいのに、最低限の任務報告しか会話ができなかったとかなんとか。
 だから山積みの仕事から抜け出して、リナリーに会いに…ってやっぱり抜け出したんですね、仕事。
 追われてるんですね、室長。


「それは仕方ないですよ。日頃から仕事サボって溜めてる室長が悪」

「少しくらい、いいじゃないか…大事な妹との時間を過ごしたいって思ったって、いいじゃないか…ッ」

「いや…ちょ…室長、こんな所で落ち込まないで…っ」


 面倒だから!

 ずーん、と見るからに纏う空気を凹ませて地面に膝を抱いて座り込み、めそめそと泣き出す室長には流石に焦った。
 これじゃ私が泣かせてるみたいだから!

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