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My important place【D.Gray-man】

第21章 地獄のティータイム



 書類を入れたファイルを手に、広い教団の廊下を歩く。
 新本部は旧本部に比べて横に造りが広い建物だから、エレベーターや階段が少なくなった代わりに廊下が長くなったイメージだ。
 まだ隅々まで建物内は把握していないから、頭に地図を入れる意味でも周りを見ながら歩き続けた。


「雪くんじゃないか。良い所にっ」

「室長、お疲れさ…何やってるんですか」


 その途中でふらりと出会ったのは、この教団で一番偉い人。


「いや、ね。ちょっと匿(かくま)って欲しくて」

「匿う?」


 急に歩み寄ってきたかと思えば、高い長身を屈めて私の背中に隠れ出した。
 コムイ室長、自分の身長考えて。それ隠れきれてません。


「一体どうしたんですか。…あ、まさかまた仕事をサボってリーバーさんに怒られ」

「違うんだよ今回はリーバーくんじゃないんだよッ」


 今回はって。じゃあいつもはリーバーさんなんですね。
 大変だろうなぁ。科学班班長も務めながら、室長の監視をするのって。


 ──カツ、カツ、


「っ! 雪くん、こっち!」

「えっ!? ちょ、何…っ!?」


 そんなリーバーさんに同情をしていると、不意に身をひるがえしたかと思えば室長に腕を掴まれてダッシュされた。
 訳もわからず強い力に引っ張られて、一緒に廊下を走る羽目になる。


「な、なんですか!? 私、仕事中なんですけど…!」


 と叫んでも聞く耳を持たれなかった。
 これだから自由人な上司を持つと苦労する。

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