My important place【D.Gray-man】
第21章 地獄のティータイム
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その日は、特に任務の入っていない普通の一日だった。
「ふぅ。これでいいかな」
「確認してみましょうか」
「お願いします、トマさん」
持っていたドライバーを置いて、結界装置のスイッチに手を伸ばす。
スイッチを入れれば、ヴン、と乾いた電子音と共に起動する。
「どうですか?」
「ばっちりです! 明日もう一度、誤差確認して大丈夫だったら、いつでも持って行けますね」
「それはよかったです」
笑ってバッテリーから手を離すトマさんに、私も笑って返す。
同じファインダー仲間でも特に歴の長いトマさんは、体は細身でも頼りになる存在だ。
大体のファインダーの先輩に当たるのに、いつも物腰も柔らだし。肩の力を抜いて共同作業ができる。
ファインダーは肉弾戦が多いけれど、それだけが仕事じゃない。
こうして日頃任務で扱ってる結界装置や他機器の点検や修理をしたり、情報の整理や書類仕事もする。
ファインダーの命ともなる装置が大破すれば、流石に科学班なり修理場なりに任せたりもするけど。最低限のできることはする。
今日も今日とて、非番じゃないけれど外出任務はなく、一日教団内で雑務仕事に追われていた。
「他にも点検する物ありますか?」
「こちらは大丈夫です、助かりました。月城殿、書類の手続きが残っていたでしょう?」
「じゃあそっちを終わらせますね。トマさんも、お疲れ様でした」
「はい」
トマさんに別れを告げて、一応自分用にあるデスクに戻る。
任務続きで全然整理していない調査報告書類は、デスクの上で無造作に積み上がっていた。
「まずは部署ごとに分けなきゃな…」
肩を落として溜息をつきながら、ざっと書類に目を通す。
サインを貰わないといけないものとそうでないものに分けて、ファイルにしまった。
とりあえず優先させるべきは──
「科学班の所かな」
リーバーさんにサインを貰いに行こう。