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My important place【D.Gray-man】

第21章 玉兎.



 確かに兄がいるって聞いただけじゃ、そう動じないかもしれないけど…。
 コムイ室長をリナリー関連で怒らせたら怖いのに。


「だから、兄がいるっつってんのに…ッ」

「ま、まぁまぁリーバーさん」


 肩を怒らせるリーバーさんを宥めていると。


「あ。」


 にこにこと満面の笑みでリナリーの手を握るペックさんを止めたのは、別の人物だった。


「ふむ。ご馳走様です」

「…それ、僕のコーヒーなんだけど」


 ぬっと、リナリーとペックさんの間に突き出た誰かの手が、リナリーの淹れたコーヒーマグを奪う。
 かと思えば、ごくごくとあっという間に飲み干してしまった。

 黒人肌の、眼鏡の白衣の男性。
 また知らない顔の人だ。


「リーバーさん、あの人は…?」

「ああ…科学班第三班のマーク・バロウズ班長だ。中央庁から来た」

「成程」


 あの人もペックさんと同じなんだ。

 こそこそとリーバーさんに教えてもらいながら、納得して頷く。
 いきなり増員したから、名前と顔を覚えるだけでも大変な気がする。


「リーバー班長」

「はい?」

「私の部下が、君の班から悪臭がすると言っている。君の班員は風呂に入らないのか?」


 そのバロウズさんの目がこちらに向いたかと思えば、早口に淡々とリーバーさんを責め始めた。
 うわ…バロウズさんもペックさんとは違う意味で、嫌みな人みたい。


「即刻、彼らに防臭剤を掛けるなりしてもらわないと。我々は仕事ができない」

「そんなに臭いですか?」

「わからないのか? はっ! 本部科学班がこんなに非常識とは思わなかった。これから共同生活を送るのだからね。最低限のマナーは守って頂きたい」


 ……うわあ。

 確かに科学班は仕事で徹夜することも多くて、お風呂に中々入れない時もある。
 でもだからって…何もこんな言い方しなくても。
 随分と潔癖な人なのかな…。


「防臭剤をかけろ!」

「…風呂に入れてきます」


 バロウズさんの剣幕に、渋々と答えるリーバーさんの顔には疲労が見て取れる。
 こんな個性的で嫌みな人達が同じ班長なんて、色々と大変だと思う。

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