My important place【D.Gray-man】
第20章 もしもの話
「こんなAKUMAと同じ形の眼を持たせたり、方舟を操らせたりさせないでしょ。そんなの、疑って下さいって言ってるようなものだし」
初めてアレンが教団に来た時も、このペンタクルの所為でAKUMAだって門番に疑われて神田が攻撃したんだよね。
AKUMAはレベルによって姿形も全く異なるけれど、共通しているのがペンタクルをシンボルのように刻み付けていることだ。
だから顔の目立つところにペンタクルを刻んでいるアレンも当然、神田に敵視されて…あの時の神田、微塵も迷いなかったなぁ。
リナリーが止めなきゃ、脳天からアレンの体真っ二つにしそうだったし。
…私のことも知ったら…神田は迷いなく攻撃したり、するのかな。
「まぁ、だから。アレンが本当にノア側だったら、そこに何か理由はあると思うから。一方的に敵視はしないよ」
一瞬考え込んでしまいそうになった思考を切り替えて、目の前のアレンに笑いかける。
「それははっきり断言できる」
だって私がそうだから。
ノアだからって、それだけで敵視されたら…私は何も言えない。
結局アレンに良いことを言ってるようで、自分が可愛いだけの回答だ。
…本当、嫌な性格してるな私。
「やっぱり雪さんは、立派なファインダーですね」
「えー…そうかな」
なのにアレンは感心したように息をつくから、思わず顔を顰めてしまった。
それは買い被り過ぎだよアレン。
「そうです。そうやって冷静に周りを分析する力、凄いと思います」
「こんなの分析なんて言わないよ。誰でも持てる思考回路だから。それに、それだけじゃないからね」
自分が可愛い人間であることは否定しない。
今までもそうやって教団内で生きてきたから。
でもアレンに対して、今も昔も変わらず感じられることが一つ、確かに私の中にはある。
「アレン・ウォーカーって人物がそれだけ、信頼するに足る存在だからだよ」
「…僕が?」
たちまち丸くなるその目を見返して、頷く。