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My important place【D.Gray-man】

第20章 If.



「上手な言葉を並べたりしないから、響くのかな」

「…私、言葉にするの下手だから…」

「そこが雪さんの良いところなんでしょうね」

「……そんなこと言ったの、アレンが初めてだよ」

「本当ですか?」


 頷けば、何故か嬉しそうにアレンは笑った。


「じゃあそんな雪さんの魅力に気付けたのは、僕が最初ってことですね」

「魅力って…そんな大袈裟な」

「大袈裟じゃないですよ。本心ですから」


 ああ、駄目だ。
 こういうところ、神田とは正反対なアレンだから。
 暴言を吐かれるのは慣れてても、こういう優しい褒め言葉は慣れてない。
 握られた手が変な汗を掻く。


「…あ、の…アレン……手、離してくれると…あり難いんだけど…」


 変な汗がアレンに伝わる前に、離したい。
 そう思い伝えれば、キョトリとした顔でアレンは私と握ってる手を交互に見た。

 何。


「…雪さん、照れてます?」

「っ!」


 ずばり核心を突かれて、顔が熱くなる。
 そんな私の反応に確信したのか、アレンはクスクスと控えめに笑った。


「そういうところ、可愛いですよね。雪さんって」

「…年上をからかうんじゃありません」

「からかってませんよ」


 熱い顔を逸らしながら言えば、アレンの手が一層強く私の手を握った。


「本当に可愛いなって思うから」


 だから、そういうの駄目なんだって。
 慣れてないんだって。

 手汗掻くから!
 変な汗が出るから!


「ティ…ティムが見てるからね、一部始終! 画像解析で困るからね!」

「あ」


 そう言えば、やっとアレンの手は離れてくれた。
 ホッとしつつ窓際を見れば、本当にじーっとこっちを見てくるティムがいた。
 …本当に映像記録されてないかな、あれ。
 ジジさんとかに解析で見られたら、変にからかわれそうなんだけど…。


「ティム、そろそろいいだろ? 帰るぞ」


 アレンが声をかければ、今度はパタパタと羽音を立てて大人しくティムはその肩に乗った。

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