My important place【D.Gray-man】
第20章 If.
伯爵の手下だと周りが敵視するAKUMAさえも救うべき存在だと、例え周りに批難されても戦っているアレンは本当に凄い。
凄くて、だから心配になる。
人は少数派の存在を遠ざけたりもする生き物だから。
そういう思いは、時としてアレンを孤立させてしまうかもしれない。
「…だからもし何かあれば、まずはアレン自身の言葉を聞きたいなって思うんだよ」
「そんなことで、僕が信頼できるなんて──」
「そんなことじゃないよ。私には充分大きいことだから」
何より出会ってこの短期間で、ここまで心許せたエクソシストは私にはアレンが初めてだったから。
それだけで、私には充分だった。
…恥ずかしいから、言わないけどね。
「アレンがそうじゃなくても、私にはそうなの」
『雪さんにとってはそうじゃなくても、僕にはそうだったんです』
さっきアレンが言ってくれたことと、同じ言葉を返す。
すると銀灰色の目はまた、丸くなって。
「…雪さんって、不思議な人ですね」
ふ、と笑みを零した。
照れ臭そうに、でも柔らかい笑みで。
わー…こんなふうに笑うんだなぁ。
……やっぱり可愛いな、アレンって。
──というか、
「私、間違っても不思議ちゃんキャラじゃないと思うけど…」
「ああ、いえ。そういうことじゃなくて…僕の予想と反することを言うというか」
アレンの手袋が、私の手に触れる。
やんわりと優しい動作で握られた。
「雪さんの言葉は、直接的であってもなくても…偽りなく真っ直ぐ届くから。なんだか安心するんです」
両手で包むように手を握られて、そんなふうに愛おしそうに誰かに握られたことなんてないから。
思わず変な汗を掻きそうになる。
は、恥ずかしいんだけど…。