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My important place【D.Gray-man】

第20章 もしもの話



 それからクロス元帥を通じて、色んな人に出会った。

 料理長のジェリーさん。
 探索班のトマさん。
 科学班のジジさんやリーバーさん。
 クロス元帥と同じ立場の、クラウド元帥やケビン元帥。

 そして。





『はじめまして。僕はコムイ・リー。これから、此処の室長になるんだ。よろしくね』





 黒の教団の現室長である、コムイ室長。





『この子が例の、クロス元帥が部屋で預かってるっていう?』

『そうだ』

『元帥…こんな小さな子にまで手を出したら駄目ですよ…』

『ガキに手ぇ出す程、女に不自由してねぇよ』





 執拗にベタベタする訳でもないけど、粗雑にスキンシップの多かったクロス元帥。
 頭を乱暴に撫でられることなんてしょっちゅうだったし、酔った勢いで晩酌につき合わされそうになったこともある。
 ベッドが冷たいからと、湯たんぽ代わりに夜中に布団の中に引っ張り込まれたこともあった。

 でもそんなスキンシップのおかげで、コムイ室長の任命式が終わる頃には人と触れ合うことにも多少慣れるようになっていた。
 元帥以外の人から貰うご飯も、吐かずに食べられるようになった。





『じゃあな。俺は暫く此処を空ける』





 やがて私が正式に教団のファインダーとして入団した、数日後。以前と同じようにさらりとなんでもないことのように告げて、元帥は長期任務に旅立った。
 今思えば、私の為にきっと教団に留まってくれていたんだろう。





『性格まで変えろとは言わない。だがその呑み込み癖のある言葉を、吐き出せる相手をいつか見つけろよ。お前自身の為にな』





 別れ際にくしゃりと頭を撫でて、助言してくれた元帥の声は優しかった。





『生きろよ、雪』




















「──元帥には昔色々お世話になったけど…それ以降は、あんまり話せなかったんだよね」


 それから数年経って、元帥は再び教団にふらりと帰ってきた。
 その頃には私もファインダーとして働きながら、色々と教団のことを学んでいたから。
 "元帥"と"ファインダー"の間には大きな立場の差があることはよくわかっていたから、そう簡単に声はかけられなかった。

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