My important place【D.Gray-man】
第20章 もしもの話
「それ、ノアに関すること?」
「…恐らく」
小さく頷くアレンに、もう一度今日見た資料の情報を思い出してみる。
だけどどんなに考えても、"14番目"という単語は脳裏に引っ掛からない。
「うーん…見た覚えはないかなぁ…」
「そうですか…」
「ごめんね、力になれなくて」
「いえ。大丈夫です、ありがとうございます」
にこりと笑って頭を下げる。
アレンのその表情は、どことなく綺麗に思えた。
綺麗過ぎて、作られた笑顔のように。
取り繕う顔なんて誰でも持ってる。
それをいちいち詮索する気はないけど…こんな夜中に調べものに来るくらいだから。もしかしたら私みたいに、何か思い詰めてたりしたのかな…。
「…そういえばティムは? いつも一緒にいるのに」
「え? あっ」
話題を変えるように、辺りを見渡して声をかける。
そういえば、いつもアレンの傍にいるあの可愛い丸いシルエットがいない。珍しいな。
問えば、言われて気付いたのか。辺りを見渡してアレンがはっとする。
「多分、またあそこだ…っ」
「あそこ?」
「あ、いえ…目を離すとすぐに飛んでいってしまう所があって」
何処だろう、そこ。
そう問いかける前に、アレンは苦笑混じりに席を立つと持参していた小さな灯りを手に持った。
「迎えに行ってきます」
「じゃあ私も一緒に行くよ」
「一緒にですか?」
「うん。今日はずっと座りっ放しで、お尻も痛いし。ちょっと歩きたいかなって。いい?」
同じく持ってきていた灯りを手にすれば、一瞬口を噤んだ後アレンは思い直すように頷いてくれた。
「わかりました」