My important place【D.Gray-man】
第20章 もしもの話
果たしてこの事実を話して尚、私を受け入れてくれるのか。それはわからなかったけれど、それでも真っ直ぐに私を見て、意味があるならと言ってくれた。
意味があるなら、辛気臭くても面倒臭くても、ちゃんと見てくれるって。
それだけで充分だった。
不安定に揺れ動いていた心が、その言葉で少しだけ治まった。
簡単には吐き出せないけど…もしこのことを教団に知らせようと思える時がきたら、その時は。
「…ちゃんと伝えよう」
自分の口で誰より一番に、神田に伝えたい。
そう思えた。
でも教団幹部や教皇は、中央庁同様に手厳しい相手。
私にノアの可能性があることを知ったら、有無言わさず拘束するだろう。
だからこそ少しでも打破できる案が見つかってから、このことを伝えようと思った。
じゃなきゃ最悪、私は満足な発言も許されないまま死刑台行きだ。
「はぁ…」
そんな最悪な想像をしてしまって、また凹む。
「…なんで私なんだろ…」
零れた言葉はここ毎日、自問自答しているものだった。
一体誰がノアとして覚醒するのか、理由なんてきっとないんだろうけど。
星の数程いる人間の中、なんだって教団で働いてる私が選ばれたのか。
もしも神様なんて存在がいるのなら、随分と嫌味というか…残酷な性格をしていると思う。
「…なんて」
神様なんて、信じちゃいないんだけど。