My important place【D.Gray-man】
第20章 If.
「…ノアって、全部で何人いるのかな」
「13使徒だって。第1使徒があの千年伯爵らしいよ」
「へぇ」
資料を見ながら何気なく呟いたアレンの言葉に、同じく資料に目を通しながら応える。
「伯爵一人でも脅威なのに…他に十二人も要らないよね」
「全く同意見です」
思わず溜息混じりに呟けば、同じように隣でアレンも深く溜息をついた。
「ノアなんて一人いれば充分ですよ」
「本当、伯爵だけでいいと思う」
「大体ノアは人間の子孫なんて言われてるのに、その人間を材料にAKUMAを造る悪役なんて」
「矛盾してるよね、色々と」
うんうんとお互いに頷き合う。
情報が少な過ぎるから、謎だらけでも仕方ないのかもしれないけど。
人間と悲劇という材料があれば、幾らでも伯爵はAKUMAを造り出せる。
それに比べてエクソシストはイノセンスに選ばれた人しかなることはできない。
これじゃあ、どう考えたって教団側が不利な気がする。
七千年前は一体どうやって伯爵に勝てたんだろう。
…というか、一体誰が伯爵を倒したんだろう。
"ハート"と呼ばれるイノセンスらしいんだけど…その情報は、更に謎で見当もつかない。
「にしても、こんなに資料あるんですか…雪さん、いつから読んでるんです?」
「うーん…今日は任務入ってないし。昨日の任務の報告書仕上げて、室長に提出して…食事してシャワー浴びた後に、此処に来たかな」
「え。じゃあそれからこんな深夜までずっと?」
「休憩挟みつつね」
「それでも読み終えてないって…どれだけあるんですか…!」
「まぁまぁ。もう見終えたものなら、私の頭に入ってるし。なんでも聞いてくれていいよ」
青褪めて頭を抱えるアレンの肩を、ぽんぽんと宥めるように叩く。
すると唸っていた顔がおずおずと上がって、私に向いた。
「……じゃあ一つ、聞いてもいいですか?」
「うん。なんでもどーぞ」
渋るように一度口を噤んで視線をさ迷わせた後、アレンはちらりとまた私を見て口を開いた。
「…"14番目"」
…14番目?
「という、名前は…どこかに載ってたりしました…?」
知らない名前だった。
なんだろう、それ。
ノア関連の何か名称なのかな。