My important place【D.Gray-man】
第19章 灯火
回収したイノセンスを手したモヤシの目が、不意に俺に向く。
「だから報告は任せます。くれぐれも手荒にしないように」
その言葉は明らかに月城関係のものだ。
どこまでも月城のことに突っ込んでくるモヤシに眉間に力が入ったが、反応はせずに背中を向けた。
「行くぞ」
「ぁ、うんっありがとうアレン、ミランダさん」
「こちらこそ。報告を頼みます」
「終わったら体を休めてね。雪ちゃん」
歩き出せば、小走りでついてくる月城の気配を背中に感じる。
「ジジさんとジョニーも、また」
「うん。任務お疲れ様ー」
「またな~」
律儀に周りの奴らに声を上げた、数分後。
「──あっ」
何か思い出したように、月城の足が急ブレーキをかけた。
なんだよ。
「アレンのコート返し忘れた…っ」
「はぁ? ンなもん後にしろ」
そんなことかよ。
別に今じゃなくてもいいだろ、そんなどうでもいいこと。