My important place【D.Gray-man】
第19章 灯火.
「どうでもいい」
吐き捨てて、監査野郎からモヤシに視線を変える。
『でもアレンは頑張り屋だから。…あんまり無理し過ぎないようにね』
月城のその言葉に対して、見せたモヤシの一瞬の情けない顔は、恐らく素に近いものだった。
14番目のノアメモリーや、クロス元帥の死。
今回の任務で時折見せていたこいつの虚ろな表情は、恐らくそういう色んな感情を押し込めたものだ。
ただ、そんなもん見ても別に何も感じない。
俺にとってはどうでもいい。
そもそも任務中に余計な私情挟むんじゃねぇよ。
「……」
それが伝わったのか、俺を見返すモヤシの眉間の皺が寄る。
「何もそこまで言わなくても…っアレン、リンクさん、気にしないで」
「…わかってます。いつものことです」
「…ええ」
取り繕うように間に入ったのは月城だった。
その言葉に頷くモヤシ達の姿は、なんとなくいけ好かない。
「…オイ。暗証番号だ」
「は、はい」
これ以上この空気の中にいるのは胸糞悪くて、さっさと司祭に暗証番号を示すと教会へと踏み込んだ。
俺が憎いのは教団。
その教団を崇める者も、その為に命を張る者も、全部俺にはどうでもいいことだ。
そんな奴らと馴れ合う気はない。
「……神田、」
ただ一人を除いて。
「なんだよ」
振り返れば、ぎこちなく追いかけてくる月城が見える。
教会に入れたってことは、今度は番号を間違えなかったのか。