My important place【D.Gray-man】
第3章 夢Ⅰ
──…ナ…
何。
──…ス…
誰。
──…ヲ…
人の声?
「ぅ、あ…ァ…ッ!」
頭の中で僅かに木霊する誰かの声。
だけどそれ以上に、ガンガンと頭を槌(つち)で叩かれているような衝撃が響く。
体中の血が沸騰するような感覚。
熱い。
「気絶すんじゃねぇよ、踏ん張りやがれ!」
強い力に飲み込まれるような感覚の中、途切れ途切れに聞こえたのは神田の声。
ガンガンと響く音と。
得体の知れない強い力と。
神田の声と。
全てが混ざり合って、騒音のように頭に響く。
痛い。
熱い。
体がどうにかなってしまいそうな、そんな感覚。
それは一瞬のようで、永遠のようにも感じた。
「おい!っ…月城!」
もう一度、聞こえた気がした。
私を呼ぶ神田の声。
珍しいな…一日に二度も聞けるなんて。
少し、得した気分。
…なんて。
そこでふつりと、私の意識は真っ暗な闇に飲み込まれた。