My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に.
「だ…大丈夫。すぐ上がるから、待ってて」
いけない、今は任務中。
AKUMA討伐もイノセンス回収も済んだけど、教団に戻って報告を済ませないと。
慌ててミランダさんに応えて、急いでバスタブに入ってシャワーの水栓を捻る。
サァァ…
熱いシャワーが頭から降り注いで、足元を真っ赤に染めていく。
AKUMAの血と、私自身の血と、混ざり合って排水溝に吸い込まれていく。
額にできた真新しい十字傷。
頭から被ったAKUMAの血は、少なからずその傷口に触れたはず。
普通の人間が毒素あるAKUMAの血を体内に入れれば、悪影響を及ぼす。
だけど私の体は、どこも支障ない。
寧ろ影響を受けたのは、イノセンスである"退魔の剣"の方。
それがもう答えなんだろう。
「……」
バスタブの中で膝を抱いて座り込む。
その膝に顔を埋めて、熱いシャワーを全身に浴びた。
私は人間であって
多分、普通の人間じゃない。
「…っ」
どうしよう。
どうしたら。
こんな額の傷跡、もう絆創膏だけじゃ隠せない。