• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第18章 ロザリオを胸に



「雪さんッ大丈夫ですか!?」


 胸をアレンの剣に刺されて吐血したAKUMAが、勢いよく倒れる。
 胴体を掴んでいた手が緩んで、その隙に拘束から抜け出した。
 同時にするりと、音もなく体を貫通していた剣が抜ける。

 AKUMAには大きなダメージがあっても、私に怪我はない。
 それはアレンの左腕から作られる武器、"退魔(たいま)の剣"が持つ特殊な能力。
 効果を発揮するのはAKUMAやノアに対してだけで、私達普通の人間やエクソシストには無害なんだとか。
 優しいアレンの性格がよく出ている武器だと思う。


「ぅ、うん。なんとか」


 どうにか倒れたAKUMAの下敷きにならずに、地面に足を付けることができた。
 振り返れば、こちらに駆けてくる白い姿が目につく。
 アレンだ。


「なんでエクソシストが此処に…!?」

「あいつら負けやがったのか…!」


 憎々しげに残されたAKUMA達が声を上げる。
 あいつらって、アレン達が対峙していたAKUMA達のこと? 
 だとしたら仲間だったのかな。
 計画的に群で襲ってきたのかもしれない。


「血、飲み込んでませんかっ?」


 傍に寄るアレンが、心配そうに私の顔を伺う。
 恐らく見た目には、AKUMAの血を大量に浴びて真っ赤なんだろう。
 ファインダーのマントは白だから余計に散々たる姿に見えたのかもしれない。


「大丈夫。それより助けてくれて、ありがとう」


 おかげ様で命に別状はない。
 顔に付いた血を拭いながら笑って首を横に振れば、ほっとアレンも息をついた。


「あっちのAKUMAは?」

「はい。全て救済を終えました」

「そっか、よかった」

「遊び相手にもなりゃしねぇよ」


 さく、と芝を踏む足音。
 見れば、退屈そうな顔でAKUMAを見上げながら歩いてくる神田の姿があった。


「テメェらは少しは楽しませてくれるんだろうな」

「ンだと…ッ」

「図に乗りやがって…!」


 トントンと肩にかけた六幻を軽く揺らしながら挑発する神田に、二体のAKUMAがたちまちに怒りを露わにする。

/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp