My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に
「雪ちゃん…! ど、どどどうしましょう…!」
「っ時間停止(タイムアウト)を解除して下さい! 先輩を助けないと…っ」
「ッ駄目!」
咄嗟にキエさんの言葉を遮る。
それだけは駄目だ。
今、時間停止(タイムアウト)を解除しても無駄に被害が増えるだけ。
「イノセンスが優先!」
「でも…ッ」
強く言えば、マオサさんはぐっと唇を噛み締めた。
任務遂行より仲間の命を重んじる。
うん、あの二人はきっと良いファインダーになるだろうな。
「弱い人間が見栄張ってんじゃねーぞ」
そんな感情に浸る暇もないまま、引き寄せた巨大なAKUMAの手が私の胴体を掴む。
そのまま軽々と持ち上げられて、目の前に巨大な顔が近付いた。
機械の面のようなものを被った顔は、どこが目で顔なのかもよくわからない。
「言ったよなァ、その体潰してやるって」
「どこからやる?」
AKUMA達がげらげらと下品に笑い合う。
確かにただの人間である私は捕まってしまったら、そこで終わりだ。
AKUMAの手から逃げ出す策なんてない。
ただ、やれることはまだある。
「ま、参りました…負けを認めますから、潰すのはちょっと」
「あアん?」
「今更何言ってんだよ」
みっともないけれど背に腹は代えられない。
というか私は任務に誇りを持って挑んでる訳じゃないから、そういう姿に抵抗も別にない。
ということでただ一つやれること。命乞いをしてみることにした。
無意味だろうけど。
死と隣り合わせの仕事だと理解はしてるけど、安易に命を諦める気はない。
それにまだアレン達がいる。
時間稼ぎはきっと無意味なことじゃない。…はず。
それでも威圧ある巨大な能面みたいな機械顔を前に、冷や汗を滲ませながら声をかける。
案の定、聞く耳は持ってもらえなかった。
「オレの母ちゃん馬鹿にしたんだ、それ相当の罰を喰らってもらわなきゃなァ」
え、そんなにあの死語効果あったの?
というかAKUMAに母親いたの。
初耳ですけど。