My important place【D.Gray-man】
第18章 ロザリオを胸に
「なら…ッこれでどうだァ!!」
腕の血管が浮く程に筋肉を盛り上げて、AKUMAが地面に拳を打ち込む。
地面に拳が深く埋まる程の衝撃は、ピシピシと地面に地割れのような罅(ひび)を入れた。
「わ…!?」
罅が私まで追いつくと、一気に足場が揺れる。
唐突な揺れに体がバランスを失ってしまう。
「んの、これしき…っ!」
割れる地面の間に足場を見つけて、踏み付け地を蹴り上げた。
確かに勝ち目はないけど、簡単に諦めたりなんかするもんか。
最後の最後まで抗ってやる。
──ボコッ
そう、平らな地面へ抜け出そうと踏ん張った時。
また聞き覚えのある音が足元で鳴った。
「っ!?」
強く足首を掴まれる。
見下ろせば、地中から突き出た巨大なAKUMAの手が足を握っていた。
嘘、まだAKUMAがいたの…!?
「つーかまえたァ!」
「やっとかよ…!」
笑ったのは後方にいる、地面に拳を埋め込んだAKUMAだった。
ビシビシと地面の割れが大きくなる。
ぼこりと土の山を上げて地中から現れたのは、そのAKUMAの地中に埋まっていたはずの腕。
異様に長く、まるで触手のように伸びて私の足首を掴む手まで続いていた。
これ、あのAKUMAの腕だったんだ…!
「うわ…ッ!」
「手間かけさせやがって」
「うるさいコバエだったなァ」
ゴムのように一気に縮小して、ばちんっと元の長さまで腕が戻る。
その反動に容赦なく体はAKUMAの下まで引き摺られた。
まずい。