My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
『じゃあな、ユキ。また何かあったら遠慮なく僕らを訪ねに来なよ。同盟仲間として、話なら聞くからさ』
『そう言うな兄弟。何もないことが一番さ。話なら聞くけどね』
『なに、話って?』
魔法界での帰り際。こそこそと雪にだけ聞こえるように伝えに来たフレッドとジョージ。
なんの話かと首を傾げれば、にんまりとした双子特有の笑顔で声を揃えて告げられた。
『『カンダの話に決まってるだろ?』』
そう言い切る二人は、雪と神田の間に溝ができていたことに気付いていたのだろう。
だから何かと二人の時間を設けようとしてくれていた。
節々の行動は、そう思えば辻褄が合う。
(そんな顔する必要、全然ないのにな)
フレッドとジョージは、言うなれば大きな賢い子供だ。
わかっていて神田をからかっている節がある。
雪が隣にいて欲しいのは他ならぬ神田で、その立場が双子により揺らぐことなど微塵もないのだ。
「ふあ…なんだかんだ丸二日使っちまったしな~。オレ仮眠取るさ…んじゃな、二人共」
「あ、うん。ゆっくり休んで。ブックマンにも協力ありがとうって伝えておいてくれる?」
「りょーかい」
ひらひらと片手を振りながら、自室に戻る為にラビが離脱する。
本来ならこのまま自分の足でブックマンに礼を伝えに行きたかったが、今はラビの体を休ませたかった。
なんだかんだ四六時中傍にいて、監視と共に保護の役目も担ってくれていた。
ラビは雪の想像以上に、しっかりと己の責務を果たしてくれたのだ。
「え…っと」
気付けば部屋の分かれ道。
自分と神田の部屋も同じ方角ではない。
「ユウは、今からご飯…とか?」
「コムイに事後報告をする。一応でも任務で出ていたからな」
「そっか。じゃあ…あの、」
ウィーズリー家でモリーがふんだんに手料理を振舞ったお陰で、腹は膨れている。
このまま少し早めの就寝をした方が、明日に疲れは残さないだろう。
自然な流れなら、ラビのように解散するところ。
「…ユウの部屋で…待っていても、いい…?」
言い淀みながらも、思い切って告げてみた。
まだ、このまま離れたくはなくて。