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My important place【D.Gray-man】

第49章 つむぎ星に願いを












「はーぁ…つっかれたー」

「ラビにも、色々お世話になったよね。お疲れ様」

「お。なんか素直さな」

「感謝する時はちゃんとするよ。目的は半分しか達成できなかったけど」

「よかったんさ? 火消しライター」

「持ってろって言われちゃったからね…またの機会に、返すことにする」


 教団本部へと辿り着いた三人の足が、硬い床を踏む。
 慣れ親しんだ場所に、魔法界での疲れが出たのか。伸びをしながら盛大に肩を落とすラビに、雪も苦笑混じりに頷いた。

 目的の一つであった火消しライターは、ダンブルドアに届ける前にハグリッドによって止められた。
 自分よりもダンブルドアのことに詳しい彼の意見ならば、耳も傾ける。
 何より雪よりも遥かに広い視野と深い知識と柔軟な発想を持ったホグワーツの校長だ。その老人が良しとするなら、問題はないのだろう。

 何より一番の目的は達成できた。
 暗く重い内装の教団内部を歩いていても、以前のような息苦しさはない。
 常に見張られている緊迫した空気も、そのしんどさも。


「またの機会って、またあの妙な世界に行くつもりかよ…」


 うんざりした顔で歩く、神田が隣にいてくれるからだ。


「機会があればね。私はぜひまた行きたいけど」

「…あの赤毛共に会いにか」

「うん。それもいいな。ウィーズリー家、すっごくあたたかくて素敵な家族だった。また一緒にご飯食べたい」

「……」


 立場は何も変わってはいない。
 それでも、心と同様足取りは軽い。


「雪、それ以上はやめろって…ユウの顔見てみろって…」

「ごめん。つい」

「わざとかよっ」

「そうじゃないけど」


 本音と言えば本音だ。
 それでも赤毛の双子を思い出してか、顔を顰める神田を見ているだけで表情筋はふにゃりと緩む。

 強い意志を抱えて教団に立っている神田が、それでも尚、自分のその目に映してくれている。
 立場も何も関係なしに、求めてくれている。
 ただそれだけで、前を向くことができるのだから。

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