My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「──それでは。本当にお世話になりました」
「ええ、ええ。こちらこそ、アーサーを一緒に祝ってくれて嬉しかったわ」
「今度はぜひ、君達の誕生日に息子達を呼んでくれ」
「機会があれば」
朗らかに笑うウィーズリー夫妻。
彼らの希望が簡単には通らないことを知っていたからこそ、雪は笑顔でゆるりと答えを流した。
本音を言うならば、ぜひまた訪れたい。
こんなにも温かく愛に満ち溢れた家族は知らなかったから。
夫妻の後ろでは、末っ子のジニーに茶々を入れる双子。
見送りに来てはいるが、忙しそうに書類を捲っているパーシー。
時折反発しながらも、隣同士離れはしないロンとハーマイオニー。
見ているだけで自然と笑顔になってしまう。
あたたかい光景だ。
「本当に、素敵なご家族ですね」
「そう? いつも誰かしら問題を起こして、煩いばかりよ」
「はは、そうだなぁ。息子達が生まれてからというものの、何かと休めたことがない」
到底愚痴を漏らすような顔には見えず、幸福そうに夫妻は零す。
「でもあの騒ぎがないと、一日が始まらない気がするのよね」
「違いない」
そんな二人に、雪はつい目を細めた。
眩しいものを見るかのように。
「またいつでもいらっしゃいな」
簡単には訪れられない場所だ。
住む世界さえも違う。
それでも。
もしその可能性が少しでもあるのならば。
また訪れたいと強く思った。
「…はい」
賑やかな、愛が息衝くこの場所へ。